*お礼小話(現パロ)
・HR前
「へーすけくーん」
よたよたと、ゆったりとした足取りで斉藤タカ丸が2年教室へやってきた。
1年が2年教室を訪れるのは普通なら珍しいことだが、タカ丸は例外だった。
足しげく通いつめているため、不自然には見えない。
むしろ馴染んでいるくらいで、何の接点も無い2年からも声をかけられる位だ。
「なんだ?」
教室の窓際、一番後ろの兵助の席にくると、タカ丸は眠そうな欠伸をひとつ零した。
「オレのノート、持ってない?」
「あ、そうだ。忘れてた」
「やっぱりーよかった」
「悪いな」
「なんで兵助が斉藤のノート持ってんだよ」
今まで隣で話を聞いていた三郎が疑問を述べた。
「昨日勉強教えに行ってたから」
その言葉に、兵助と同室の八左ヱ門が納得したように頷いた。
「あーだからお前今日朝帰りだったんだ」
「「朝帰りィ!?」」
今まで大人しく聞いていた雷蔵が声を上げれば、
そこは魂の双子、三郎も同時に声を上げた。
「誤解を招く言い方するな!勉強教えてただけ!」
そう言って兵助が大きくため息をつく。
「あ、兵助くん」
「ん?」
兵助がタカ丸を見上げると同時に、
タカ丸は胸座を軽く掴んで、小さく屈みながらそれを引っ張り、
唇を合わせる。
時間にして3秒間のキス。
顔を離してから、タカ丸は唇を舐めた。
「兵助くん歯磨き粉変えた~?」
「…うん、ミントなんとかってやつ」
「こっちの方がおいしいv あ、俺帰るね」
「じゃあな」
「バイバーイ」
タカ丸はまだ眠たげに笑って、来たときと同じようによたよた去っていった。
「ちょ、ちょなにやってんだ!」
「兵助もっと慌てようよ!」
三郎と雷蔵はあわあわと驚いて声をあげた。
兵助が人前でそのようなことするのを好むようなタイプだとは思えないからだ。
しかし、当の本人は然して気にした様子も無く言う。
「だってあの人帰国子女だろ」
ハリウッド帰りの転入生、タカ丸の有名な肩書きだ。
呆然とする双子の前で、
「人前ではほどほどにしろよー」と八左ヱ門が一言注意した。
***
「外人(みたいなもん)だし」で済ませる久々知くん
・二時間目
「あー…眠いぃ」
「寝不足ですか?」
机に突っ伏すタカ丸に、隣の席の綾部が声をかける。
「うー昨日勉強教えて貰ってたんだけど、ちょっと長引かせちゃって」
「そういうのを本末転倒っていうんですよ、タカ丸さん」
「ほ、ほんまつてんとー?」
綾部の前の席の滝夜叉丸が苦笑しながら言うと、タカ丸は情けない声で聞き返した。
「重要なこととつまらないことを取り違えるってことです。
だから、勉強教えて貰ってるのに昼間に眠くて勉強できなかったら意味ないでしょう」
三木ヱ門も後の席のタカ丸を振り迎えって、同じように苦笑する。
「重要なことかぁー・・・でも勉強教えて貰ってる時間楽しいんだもん」
「・・・ちゃんと勉強してるんですか?」
「してるよー」
全然駄目だから迷惑かけっぱなしだけど、とタカ丸は眉を寄せた。
「・・・分からないことがあったら、私たちにもきいてくださいね」
「そうですよ!タカ丸さんはいつも英語教えてくれるし、代わりと言ってはなんですけど…」
「今度みんなで勉強会しましょうよ」
「へへ、皆ありがとーv」
***
仲良し四年
勉強教えてくれているのが誰かなんて、そんな野暮なこと聞かない
・昼食(四年)
タカ丸と三木ヱ門が購買から帰ってくると、
いつもは購買でパンかおにぎりを買う綾部と滝夜叉丸が今日は手作りの弁当を広げていた。
「おいしそうだねー」
「滝が作ったんです」
「お前が明日から弁当をつくれなんて急なこというからな!」
「でもおいしいよ」
「あたりまえだ!!」
見栄えも良いし、栄養も考えられているメニューで、本当においしそうだった。
「タカ丸さんと三木は弁当じゃないの?」
いつもはこの2人が弁当を持ってきているのに、今日は反対だ。
「俺は今日寝坊しちゃってー」
タカ丸はそう苦笑しながら、タマゴサンドをほおばった。
「三木は?」
「…忘れてきた」
「…間抜けだな」
「うるさい!馬鹿夜叉丸!」
「なんだとこのアホヱ門!」
「仲いいねぇ」
「目玉焼き食べますか?」
「いいのー?」
「あーん」
「あーん」
***
タカ丸と綾部はあーんとか普通に出来る子だと思う
女の子同士みたいなノリで
・昼食(五年)
「から揚げ定食」
「とんかつ定食」
「焼き魚定食」
「僕は…」
雷蔵がうーんと唸りながら、またいつもの迷い癖を発動させる。
こうなったら長いことを知っている兵助と八左ヱ門は、苦笑した。
「おばちゃん、から揚げ定食もうひとつ」
「あいよー」
三郎が横から割り込み、悩む雷蔵の代わりに言った。
「後列できてる」
「あ、うわ、ごめんね」
「から揚げ定食、好きだろ?」
「うん、三郎と一緒でいいや」
雷蔵が少し申し訳なさそうに笑うと、三郎は嬉しそうに笑い返した。
「ほら、さっさと喰おう」
「うん、次なんだっけ?」
「古典だろ」
兵助が答えると、八左ヱ門は「うわぁ」と声を上げた。
「兵助ノート見せて」
「はいはい」
「雷蔵」
名前を呼ばれて振り返った雷蔵の口元のごはんつぶを、
三郎の親指がすくった。
「あ、ありがとー」
「どーいたしまして」
三郎はそういいながら、そのごはんつぶを口に入れた。
雷蔵は気にする様子も無く、ひとつから揚げをほおばる。
「どっちもどっちだな」
雷蔵と三郎に聞こえぬように呟いた声に、
「うん?」と兵助が振り向いたが、八左ヱ門は笑うだけだった。
***
自分達も人前でそういうことしてんじゃん。 by竹谷
・放課後のコンビニ
「綾ちゃん、なに買うの?」
「飴そろそろストック切れてきたんで」
綾部は袋入りの飴のコーナーをじっと見ながら答えた。
「キシリトールのガム買わないと。
あ、喜八郎、食パンまだあったっけ」
「しらなーい」
綾部の気の無い即答に、滝夜叉丸は眉を顰めた。
「まぁいっか、一袋買っておこう」
「タカ丸さんは?」
三木ヱ門はついてきただけだったので、
かごを持ってお菓子コーナーをぶらつくタカ丸に声をかけた。
「俺はチョコとじゃかりこと・・・あ、あと歯ブラシ!」
忘れていたのか、はっとして言うと、すぐに日用品が置いてある一角へ向かった。
「歯ブラシなんかありますかー?」
食パンをかごに入れた滝が聞くと、少し間を空けて「あったよー」と答えが帰ってきた。
「わざわざコンビニで歯ブラシですか?」
「うん。最近俺の部屋に泊まること多いからさ……青でいいかな?
ついでに俺も新しいの買おっと」
タカ丸はそういって、少ないバリエーションの中から青と黄色の歯ブラシを2本かごに入れた。
「へー…」
「あーとーはー…牛乳!」
「滝、これ」
綾部が滝夜叉丸のかごに、イチゴ飴とミルキーの袋を入れる。
「金は払わんぞ」
「たてかえといて」
後で返せよと念を押したが、綾部から返事は無く、滝夜叉丸はため息をついた。
***
なんか新婚さんの新妻みたいなタカ丸
お母さんみたいな滝
・メール
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今日も勉強教えてください(*・ω・)*_ _)ペコリ
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いいよ
今日は早く行くから
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はーい(●´∀`●)
晩ごはんいる?
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今日はなに?
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カルボナーラとサラダだよd(≧∀≦)b゚+.
何時くらいに来てくれる?
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六時には行く
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じゃあ待ってるね(*´∇`)ノシ
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「あいつはどこの新妻だ!!」
「おい三郎、人のメール履歴勝手に見るな」
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タカ丸は日本の顔文字は可愛いなーvとか思って、乱用してればいい
・勉強
「…わかんない」
「どこ?」
「ここー」
「応用だよ、さっきの公式」
「さっきの?」
「そう、逆から求めればいいんだ」
「あー…ちょっと分かったかも」
「やってみて」
「ん……
あ、できたかも」
「見せて」
「はーい」
「……うん、完璧」
「やったv」
嬉しそうに笑うタカ丸に、
兵助は慣れた様子でわしわしと頭をなでた。
「後2問頑張れ」
「頑張ります!」
(ほんと、褒めると伸びる子だなぁ)
***
タカ丸は褒めればにょきにょき伸びると思う
・夕食
「あーそろそろ夕飯準備するね」
「もう作ってんの?」
「下ごしらえとサラダはね。
あとはパスタ茹でるだけだから、ちょっと待ってて」
「ん」
タカ丸がキッチンに立っている間に、
兵助は手馴れた様子でグラスと銀食器を用意する。
「あ、牛乳無かっただろ」
「うんコンビニで買ったよ。
後、兵助くんの歯ブラシも買ったんだけど青でよかった?」
「いいけど…俺の?」
「うん。 泊まるときいるかと思って」
「あー…うん、そっか」
コンビニの袋に入った2本の歯ブラシを見て、
兵助は小さく笑った。
「どうしたの?」
「んーほんと良妻だなぁと思って」
「?」
「いや、なんでもない、それより手伝うことある?」
「じゃぁー…大きいお皿出してくれる?」
「白いやつ?」
「そうだよー」
兵助は食器棚から2枚の大皿を取り出し、タカ丸の横においた。
「ありがと」
「いいえ。 もうできる?」
「うん、兵助くん座ってて」
タカ丸に促され、兵助はクッションまみれの部屋のラグのうえに座って待つ。
「おまたせー」
「上手そうだな」
「へへv 食べてみて」
「ん、頂きます」
***
タカ丸は料理上手だといいな
・テレビ
「おいしい?」
「うん、すごい、うまい」
「よかった! ソース手作りにしてみたんだー」
「へぇ、すごいな」
タカ丸は嬉しそうに笑った。
付けっぱなしのテレビから、
バラエティ番組の賑やかな声が聞こえる。
「あーこの人このまえも同じこといってた」
「そう?」
「うん、他局で」
芸能人を見ながら、
2人で隣り合って座りながら番組を眺める。
前のマンションから持ってきた、部屋の割に大きなテレビ。
画面にはお笑い芸人が映っていた。
タカ丸はこの人たち最近すごい出てるねーと笑って、
兵助は来年いっぱいだろと言う。
タカ丸はそうかなぁと言いながら、サラダにゴマドレッシングをかけた。
ドレッシングはいつも2種類机の上に置かれている。
タカ丸は番組のテロップを追いかけながら、くすくす笑った。
兵助はテレビにはとくに興味なさ気で、
タカ丸よりも速いペースでカルボナーラを食べおえた。
(なんか、)
(幸せだな)
***
新婚っぽいのに熟年夫婦っぽい感じが好きです
些細なときに幸せを感じたりとか
・夜
「…んぁっ」
「変な声だすなよ」
タカ丸の奇声に、兵助は眉を顰めて笑った。
眠そうな目を瞬かせ、タカ丸は頬を少し赤らめた。
それから、はっとする。
「うわ、俺寝てた? ごめん!」
「いいよ。 食器洗っといた」
「ありがとー…ん、今何時…?」
「9時」
兵助が、テレビの横のデジタル時計を指差す。
「風呂行くか?」
「そうだね…今日泊まっていく?」
「ん」
「じゃあ歯ブラシ使うね」
「そーだな」
にっとタカ丸が笑うと、兵助も笑い返した。
「部屋、鍵閉めた?」
「うん、おっけー」
「じゃあ行こう」
極自然に、差し出された手をとった。
嬉しい、と笑いがこみ上げる。
でも大げさに笑ってしまったら、きっと照れてこの手を解くだろうから、
タカ丸は小さく笑った。
「髪洗わせてね」
「うん」
**
タカ丸と兵助の日常的幸せな一日 でした
おそまつ!