「やくも蜜」のコウさんにフったら答えてくださった!狂気、鉢屋三郎!!
リクエスト休止中だというのに自重せずにお願いしてしまった;;
それでも答えてくださるコウさん、大好きです!
ありがとうございました!!!
雷蔵が死んでしまった後の三郎。
迫力が、すごいですよね!!
見たときほんとにぞくっとしました…!
さらに自重せず、妄想小話も書いていいよということで自重なしに書かせていただきました。
そのうえ書きたい所だけです。
ほんとうにごめんなさい OTL
※死ネタなので気をつけてください。暗いです。
そこは戦場。
実習なんて名前だけのお遊びじゃない、殺し合いの場。
そこには刀がぶつかる高い音と怒涛と、土と火薬と血の匂いがあるのみ。
命などいつ落としても不思議じゃなかった。
そんな道を歩んできたのだ。
こうやって戦う術を今の今まで学んできていたのだから。
いつ死んだっておかしくなかった。
だから、なに?
「三郎!!」
名前を叫んだのは八左ヱ門だった。
ほぼ同時に左腕を捕まれ、仕方なしに足を止める。
手を掴んだのは兵助だった。
「何処へ行く気だ」
兵助がそう問いかけてきた。
低い声で言われた言葉を鼻で笑って、ほんの少し首を動かす。
視界の端に黒髪と、ひそめられた顔。
逆に首をひねれば同じ顔をした八左ヱ門が、兵助と同じように手首を掴んできた。
「何処へ?
盗られたものを盗り返しにいくだけさ」
おかしなことを聞くものだ。
「馬鹿なこと言うなよ三郎!
仇討ちなんか…ッ」
八左ヱ門が泣きそうな声で怒鳴ってきた。
ぎりっと手首に鈍い痛みが走る。
相変わらずの馬鹿力。
もうちょっと加減しやがれ。
眉間にしわを寄せて八左ヱ門に目を向ける。
「仇討ち?
そんなんじゃない、こんなのただの喧嘩じゃないか」
八左ヱ門が、眼球がこぼれそうなくらい大きく目を見開いた。
それほどこの言葉が心外だったというのか。
鉢屋三郎がどんなものか、お前はそれなりに知っていると思っていたのに。
「喧嘩…?」
「そう。
雷蔵は俺のもんだから。
だから奪い返す、それだけだ。
こんなの、ただの餓鬼の喧嘩さ」
「ただの喧嘩には刀はいらない」
今度は兵助。
ああ、2人とも今日はいやに口煩い。
「らしくない。
お前は勝ち目のない喧嘩はしない」
「勝ち目?」
冷静を装って、わざとけしかけてくる様な兵助の口調がおかしくて笑えてくる。
みっともないくらい眉が寄っているぞ。
この俺に次いでの優等生が情けない顔だ。
「鉢屋三郎は、天才だろう?」
忘れてもらっちゃ困るな。
前を向けば、驚いたような二人分の視線を背中に感じる。
長い付き合いだろう。
いつだって我が儘や悪戯に付き合ってくれたじゃないか、友よ。
これくらいの喧嘩、目を瞑っておくれ。
「手を離せよ、
腕切り落とされたくなかったら」
ぞわっと
指の先から腕を伝って肩から首まで。
血の気が凍るような冷たい殺気を感じて思わず怯んだその隙に。
緩んだ2人の手から逃げ出し、とんと地面を踏み込めばもうそこからさきは闇。
この先はめったなことがなければ踏み入れることが許されない場所。
そこには雷蔵がいる。
さぁ、そこまで追いかけて連れ帰ってやろう。
「三郎ッ!!」
「はっちゃん、追うな」
「でも兵助…!」
振り返った八左ヱ門は奥歯を噛み締めて、ぐっと拳を固めた。
まだあの瘴気のような殺気にあてられたせいで身体を末端が震えている。
あの殺気、あれが鉢屋三郎という天才。
まるで血色に滲んで視界すら奪ってしまいそうなくらいの力。
思い出すだけで兵助はぞっとした。
八左ヱ門は言うことを聞かず震えをやめない手首をもう片方の手で強く握った。
「…もし、雷蔵の後を追ったりしたら、」
「知ってるだろ?
あいつは天才だけど馬鹿だ、大馬鹿者。
でも愚かな馬鹿じゃない」
兵助はひとつ重々しいため息をついた。
すでに三郎の気配は微塵にも感じられなくて、それ故の諦めだろう。
「帰ってくる」
「…雷蔵と一緒にか?」
「…うん、そうだな」
捨てられた犬みたいな目をしている八左ヱ門に兵助は苦笑を交えて頷く。
それを見て、八左ヱ門もずっと鼻をすすって前を向いて。
「あいつなら、やりかねないよなぁ」
そういって笑った。
いつものようにとはいかなくとも。
ただ一度だけ、三郎の消えた彼方を振り返り、
2人は学園への帰路を急いだ。
雷蔵のいる学園へ。
***
雷蔵が死んだ後の三郎。
追っかけてつれて帰ってくるつもり。
本気になった天才の殺気は恐ろしいと思います。
死ネタはここまでなのですが、
ハッピーな私の脳が救済!救済!と五月蝿いので、
伊作先輩と新野先生マジックで雷蔵が生き返ったら(もともと瀕死の状態だった)という妄想をしてみました。
コウさんに許可は得ています!でもってまたしても書きたいところだけです!
***
信じてた。
目が覚めれば一番に僕の顔を覗きこむのはお前だって。
「雷蔵!」
掠れた視界に浮かんできたのは、
違う、
僕のと同じじゃない2人の顔。
「兵助、ハチ…」
泣きそうな顔をした兵助と、すでに涙を浮べているハチ左ヱ門は、
僕の声を聞くなり、安心したように眉をひそめてきた。
きゅっと真一文字にゆがんでいた唇から安堵の息が漏れ落ちた。
でも反比例して僕が感じたのは不安だった。
どうして、
「三郎は…?」
口にするとその不安は流れる冷や汗とともに増幅した。
どうして、どうしてそんな顔するの。
「…三郎は、」
顔を俯かせて兵助が口を開く。
その隣で居心地の悪そうな八左ヱ門がしかめっ面をさらに険しくした。
わかった。
あいつ、いつものいたずらとは桁違いの馬鹿をやらかしたんだ。
兵助が一度唇を噛んで、それからもう一度、ゆっくり開く。
「三郎は、」
「今帰った」
がっと勢いよく部屋の障子が開く。
あまりに無遠慮なその開け方、傍若無人な扱い。
いつもなら殴ってやるところだが今日だけは許す。
ようやく表れたその姿に安心することができたから。
おどろいたような表情の兵助と八左ヱ門が目を見張る。
「…おかえり、三郎」
僕によく似た顔、髪、身体。
でも血塗られた忍装束を纏った三郎は、
三郎にしか浮べられない表情でにぃっと笑った。
「遅いぞ雷蔵。
またなにか迷ってたのか?」
「…そうさ。
また帰ってきたらお前の馬鹿に付き合わないといけないって思うと憂鬱でね、
いっそ逝ってしまおうかと思ったよ」
憎まれ口には憎まれ口。
三郎はそうかと笑って眉を寄せた。
「でも帰ってきたんだな」
「そうだよ。
お前が、僕を、呼び止めたんだ」
「うん、ずっと叫んでた」
僕の隣に立ち、そう言って口の端を吊り上げた直後、
がくんと膝を折って三郎の身体が落ちて倒れた。
それを慌てて抱きとめる。
何人もの血の匂い。
僕のために一体どれほどの人を殺したというの。
でも、それに混じって三郎のものも感じる。
あぁ血の臭いさえ分かってしまうなんて、僕らはきっとおかしいよね。
僕の胸の中に感じる三郎の体温が少し低い。
三郎の頭をきゅっと抱きかかえてあげながら、目線を兵助と八左ヱ門に向ける。
2人は、はっとして慌てて立ち上がり部屋を出てった。
善法寺先輩か新野先生をよんできてくれるだろうから、これで安心だ。
小さく息をついた。
「…帰ってこなかったら、三郎も付いてきてたでしょ」
同じ褐色の髪とまとめて抱きくるんで力を込める。
「当たり前。
地獄だろうと冥界だろうと海の底だろうと付きまとってやる。
だって、
不破雷蔵あるところ鉢屋三郎あり、だろう」
背中に腕をまわしながらそう言った三郎は、
見慣れた顔で笑っていた。
ああ、よかった。
その顔を見るために僕は帰ってきたんだ。
吐き気がする血の臭いが立ち込めてきて、泣きそうになった。
「馬鹿だ、三郎、大馬鹿者だ…っ
三途の川の手前で逝くか帰るか迷ったとしても、
僕はぜったいここに帰ってきてた。
だって、
鉢屋三郎あるところ不破雷蔵あり、だもの」
三郎みたいに、いつものような顔で笑えただろうか。
多分笑えてたと思う。
僕と同じように三郎も泣きそうな顔をしていたから。
「おかえり、雷蔵」
「ただいま、三郎」
***
三郎は敵の陣地乗り込んで、ひとつ隊つぶすくらい暴れてきたんだとおもう。
でも敵にやられて
(死ぬかも、まあそれでも上等。地獄にいけたら雷蔵に会えるし、そうなったら地獄でも来世でも一緒にいよう)
って思ったときにあの世とこの世の境で雷蔵みつけて、
それで叫んだら雷蔵が振り返ったから、こうしちゃいられん俺も帰んなきゃと思って帰ってきた。とか。
いやそこらへんを文にかけよってはなしですよねごめんなさい。無茶な妄想ですよねすみません。
またしても私だけが楽しいこのパターン(土下座ポイント)
文中の台詞など、所々コウさんのお話からパクらせて参考にさせていただきました(no自重)
コウさんほんとうにありがとうございました!!愛しています!