※めもログ1の仙様+タカ+もんじのあとのお話を書いてくださいました。
『俺に何か言う事があるんじゃないか?』
「お前、俺に何か言う事があるんじゃないか?」
立花くんの髪を結った日の夕方、夕飯を一緒しようと思い、兵助くんを誘いに部屋に行くと、開口一番にそう言われた。
ジッとこっちを睨んでくる兵助くんを見て、一瞬何の事だかサッパリ分からなかったけど、すぐに昼間の話かと思い当たる。本当にここは情報が回るのが速いなぁ。
「えぇ?何の事??」
でも知らない振りをして兵助くんの向いに座った。
別にすぐに誤解を解いても良かったけど、もうちょっと兵助くんがヤキモチ焼いてむくれているのを見たいと思ったから。う~ん立花くんの話を聞いて錫高野くんがうつったかな?
俺がいつもの笑顔でしれっと言うと、兵助くんは険しい顔を更に顰めた。
「さっき三郎が『立花先輩とタカ丸さんが気持ち良いコトしてたみたいだぞw』って報告しにきた」
あれ?三郎くんが情報リークしたの?
それなら噂が本当じゃないって兵助くんも分かっているはずだ。もし本当だったら三郎くんは兵助くんに何も言わず俺をボコりに来るだろうし。まぁ、絶対それはないんだけどね。
じゃあ俺が兵助くんに言わなきゃいけない事とは何だろうか?
「“気持ち良いコト”なんて言って、どうせ立花先輩の髪を好きに触らせてもらったとかそういう事だろう」
ほらやっぱり。兵助くんはちゃんと分かってる。
それでも兵助くんは険しい顔を崩さない。
「じゃあなんで怒ってるの?俺が言わなきゃいけない事って何?」
これ以上知らん顔してもしょうがないしと、兵助くんの胡坐を組んだ脚に手を置いて顔を覗き込んだ。
兵助くんは別にうざったそうにしたりはしなかったけど、俺が聞き返した事に若干の不満があるみたい。
でも本当に分からないんだ。いつも同級生の滝夜叉丸くんの髪を結ったりしても特にこんな風に怒ったりしないし。
改めて、どうしたの?という意味を込めて首を傾げてみせる。すると、俺を睨んでいた兵助くんの視線がフッと逸れた。
「・・・・・・・・悪い」
「え?わっ!」
いきなり謝ったかと思ったら、兵助くんは俺の髪をグシャグシャ掻き回してきた。何て言うか、犬とかにやるあんな感じ。
「悪い。違った。“俺に言う事”じゃなくて、“俺が言って欲しい事”だった」
うん、そうだ、悪い、無かった事にしてくれ、と兵助くんは自己完結して、立ち上がった。
「飯行くぞ」
「え、ちょ、ちょっと待ってよ!」
障子を開けようとする兵助くんの肩を掴むが、嫌がってこっちを見てくれない。
「頼むから勘弁してくれ」
って言われてもさ、いくら俺だってそんな犬にするみたいに撫でられといて、はいそうですかって誤魔化されてあげられないよ。
「勘弁してくれって?」
「だって、もう・・・自分が恥ずかしいって言うか・・・・・」
良く見ると首筋がほんのり赤い。ちょっと頭を動かしてみると、頬も赤いのが見えた。
顔も見せられないほど恥ずかしいって、一体何を考えていたんだろう。
「兵助くん」
・・・なんてね。
「当ててあげようか?何て言って欲しかったのか」
本当は分かってるよ。
「いいって!」
「遠慮しないでもいいよw」
だって俺も言おうと思ってた事だもん。
兵助くんがこっち向いてくれないから、俺が正面に回ってその顔を覗き込む。嫌がって俯くけど一瞬見えた顔は期待に満ちていた。
「立花くんの髪は確かに好き。綺麗で、サラサラしてて、気持ち良くて、触ってると本当に癒される。でも、」
そこで言葉を切って兵助くんの両の頬に手を添える。そして、
「んぁ!?」
ムニッとその頬を軽くつまむと、兵助くんはビックリした様に俺を見上げた。
「・・・・・ぷっ」
頬が左右にみょーんと伸びて、口をカパッと開ける兵助君。凄く面白い顔してる。
「あいふんふぁっ!」
『何すんだ』って言ったのかな?
手を放すと、さっきとは違う理由で赤くなった頬を自分の手で押さえながら、兵助くんが俺を睨む。でもそのポーズ凄く可愛いだけだよ。
「この野郎・・・・・」
「兵助くんは全部なんだよw」
「はぁ?」
「兵助くんは、髪だけじゃなくて全部で俺を癒してくれてるんだよw」
あ、兵助くんが聞きたかった事とちょっとずれちゃった。でも分かるでしょう?俺が云いたい事。
俺の言葉に兵助くんはキョトンとした顔をして、またすぐ眉間に皺を寄せしかめっ面になった。
そして、
「~っ、あぁ!くそっ!」
「痛いっ!」
悔しそうに兵助くんは俺の顔をベチッと叩き、障子を開けて廊下に出た。
「さっさと飯食いに行くぞ!」
兵助くんは振り返えると真っ赤なしかめっ面で俺にそう言い、でもすぐに困った様な照れた様な微笑みを浮かべる。
その顔を見て、あぁ、やっぱり俺は兵助くんが好きで好きで大好きで、立花くんに言った通り、愛してるんだなって、改めて思ったのだった。
と、そこで話が終わればめでたしめでたしなんだけど、
「斉藤君っつったっけ?」
その三日後、よりにもよって立花くんが留守の時に、錫高野くんが俺を訪ねてきた。^ω^;
***
初めて書いたというものをいただけることになりまして、もう幸せですっ(自重しなかった結果)
つづきもあるということなので必見でございますよ^^
立花先輩に髪では敵わないと思っているけど、でも悔しいし、タカ丸が言ってくれるのを期待してる…
この久々知のツンデレ!もう大好き!!
ちゃんと分かってるタカ丸!もう大好k(略)
加宮さんほんとにありがとうございました!愛してるーー!(黙ろうか)