動物番組鑑賞中(くくタカ大学同棲パロ)/あなたに似合う花(赤タカくく)/斉藤タカ丸の恋愛講座(4年)/昼ドラ鉢タカくく風味(あくまで風味・パロ)/
・動物番組鑑賞中(くくタカ大学同棲パロ)
「いいなぁ…俺飼うなら黒猫がいいなぁ」
「は?なんで黒?俺、白がいい」
「えー…だって白だと兵助くん『トウフ』とか名づけそうじゃん」
「…(読まれた)」
「ていうか俺は黒猫がいいの絶対!
でね、『ヘースケ』って名前にして可愛がるの!」
「はあ?そんな紛らわしい名前却下」
「えー!? じゃあじゃあ兵助くんが帰ってくるまでは『ヘースケ』で、
帰ってきたら『クロ』でも『タマ』でも『ジジ』でもいいからぁー!」
「…なんだそれ」
「んーだってそしたら兵助くんが帰ってくるまで、
『ヘースケ』とラブラブできるじゃーん」
「……プッ」
「ちょ!なっなんで笑うの!?」
「…お前が素直に寂しいって言わないって珍しいなぁと思って」
「へ………あっ!」
「そっか、へぇ、ふぅん、寂しいんだ?」
「~~~っ」
「な、今度の日曜映画見に行く?」
「(こういう時だけ超笑顔だしっ)…帰りにペットショップ寄ってくれる?」
「だめ。第一このマンションペット禁止だし」
「え、うそ!?」
「契約のとき言ってただろ」
「そんなの覚えてない!」
「…ていうか猫なんかだめ」
「なんで!?猫嫌いじゃないでしょ?」
「猫が代わりなんて嫌。
代わり作られるくらいなら、俺もっと時間作るし」
「…兵助くんだいすきっ!!」
「はいはい俺もだいすき」
・あなたに似合う花(赤タカくく)
「これ」
「は?」
手を出して、といわれて何も考えずにそうすると、
短い言葉と微笑とともにそれを渡された。
俺がそれに驚いて目を大きく見開いて見上げると、
斉藤は目の前に腰を下ろして眉を寄せながら笑った。
渡されたそれは、白い花の装飾がついた簪。
一輪だけのそれは静かだが自己主張がしっかりとしていて、
傾き始めた日の光に大きな丸い花びらがきらきらと輝いて綺麗だった。
「…椿?」
「ううん、侘助っていう椿の仲間」
きれいでしょう、と笑う斉藤が手に持っていたのはそれだけ。
ずいぶん長い時間買い物にいっていたのに。
それに第一、
「お前、髪結い道具買うんじゃなかったのか?」
「あー…有り金全部はたいてそれ買っちゃったから」
それ、というのはもちろん兵助のもっているその簪のことで。
有り金、というのは新しい髪結い道具を仕入れるための資金のことで。
「…悪いが、俺、こういう高いの、」
「うん。久々知先輩が値段どうこうで喜ぶ人じゃないのは知ってる。
でも、先輩が一番似合うのがこれだと思ったから」
(あと、捕まった店の人がすごく押しが強くて、
「おにーさんみたいないい男ならいっぱい女泣かしてるんでしょ。
女はこういうの貰うと喜ぶんだからさ、彼女にひとつ買っておやりよ」
なんて笑われたから…ってのは黙ってても、いいよね)
本当はもっと派手でもっと手ごろで上等な簪もあったのだけど、
この人の黒髪に映えるのは、この白い花しかないと思った。
「だから受け取って」
「…ありがとう」
少しだけ申し訳無く、でもまんざらでもなくて、
俺は綺麗なそれを見つめた。
(口元にはほんの少しの笑みが浮かんでいて、
ああ多分気に入ってくれたんだろうなぁとタカ丸はこっそり考えていた)
「でも、どうせなら赤がよかった、な」
「どうして?」
「女装の時に使うならほら…首、掻っ切る可能性もあるから、さ」
忍務だし、もしこの白い花の簪をそうやって使うときがきても。
きっと一瞬お前の顔が浮かぶんだろうけど、俺は躊躇せずに人を殺せる。
それがひどく哀れで寂しいことなのは知っている。
だからせめて、白い花を誰かの血で赤く染めるくらいなら、
もともと赤なら気が楽というもの。
「…ああ、そっか。
なんか色っぽいね、血で赤く染めるなんて」
黒い髪を伸ばされた指先で遊びながら斉藤が笑う。
俺は呆れながら、侘助の簪から目を上げて赤い髪の奥、
何を考えているのか掴みきれない表情を見つめた。
「阿呆か、誰のかも分からん血で染まるんだぞ」
「いいよ。先輩のじゃないなら誰のでもいい」
はっきりと言ったその顔がやはり笑っていて、
俺は何を考えているのかを考えることを諦めて息をついた。
「…案外お前かもな」
「本望だよ」
「……俺は嫌だけど。
俺がお前は刺すのなんて、多分お前が、…」
「…浮気したとき?
それなら刺される危険はなさそうだけどなぁ」
細められた目が笑っていた。
それにどうしてだか心臓が疼く自分に、
やはりこいつに嵌ってしまっているという自覚を感じざるを得ない。
遊び人の軽口を信じるなんて、裏切られたときに馬鹿を見るだけだ。
でも、それでも
「分かってる」
信じたい。
なんて思う俺は、
もしかしたら簪をもらって生娘にみたいに浮かれてるのかも、しれない。
・斉藤タカ丸の恋愛講座(4年)
「どうすればキスは上手くなりますか?」
という綾部喜八郎のその相談に、
「「ブッ」」
傍で聞いていた滝夜叉丸と三木ヱ門は思わず咳き込んだ。
当の相談をうけた本人、斉藤タカ丸は、
「うん?教えてあげよっかぁ」
と綾部の頬に手を宛がって、艶かしく目を細めて笑って見せた。
「「!?」」
「冗談w」
それを目の当たりにして茹で蛸のように赤面する滝夜叉丸と三木ヱ門に、
タカ丸はあっけからんと雰囲気を崩して笑いかけ、
それから別段取り乱したりしない綾部にも笑みを向ける。
「キスなんて回数やれば上手くなるよ。
愛があれば大丈夫。
あーでもやりすぎると怒られる、けど」
実体験をもとにしたような語り口に滝夜叉丸と三木ヱ門は苦笑し、
タカ丸もまた自暴自棄気味にけらけら笑った。
「…おやまぁ、何かあったんですか」
「聞いてくれる?」
「いえ、聞きたくはありませんが。全く」
綾部の口調は平淡でどこか不機嫌そうであるが、
それでもやはりタカ丸がめっそりとした様子を見れば、
どうせろくな話ではないだろうが聞いてあげるほかないと、思ってしまう。
「聞いてよ聞いてよー」と年甲斐もなく騒ぎ始めるタカ丸を見つめながら、
我ながら甘いなと綾部はひっそり内心で舌打した。
「…もぉ2日もちゅーしてないんだよぉ?
なんかもぉさぁ、いい加減、舌が疼く」
そう言って唇の間から見せたタカ丸の舌は、毒々しい真紅。
免疫のない2人はまたも赤面し、
ひとり綾部はやはりろくな話ではなかったなと、
鋤を持って立ち上がった。
(ああくそ、あの五年、落っことしてやりたい)
・昼ドラ鉢タカくく風味(あくまで風味・パロ)
「やっ…さぶろく、っ離して…!」
「そんな顔したって無駄。諦めて大人しくしろ」
「だめ、兵助くん帰ってきちゃうよぉっ」
「うるせぇ、兵助なんて関係ないだろ!」
「ひっ…やっやだ……!!」
乱暴に手首をとられ、タカ丸から小さな悲鳴が零れたとき。
暗がりの部屋に灯りがともる。
はっとしてみれば、そこには、
「兵助くんっ…!」
「兵助…」
涙目で振り返ったタカ丸と逃がさまいとする三郎の2人を、
険しい表情で見つめる兵助がいた。
「お前ら……!」
「またホラー映画見てんのかよ!
お前夜寝られなくなるんだろ!?」
「だって!だってぇ、三郎くんがムリヤリ…っ」
「馬っ鹿、これは映画好きなら見ねばならんだろうが」
「俺ホラーは無理だって何度も言ってるのに~~っ(ぐずん)」
「嫌だって言ってるだろ、泣かすな」
「でも兵助はまんざらでもないだろー?
このおかげで夜は………」
「うっさい!!おまっお前マジ帰れよ!!!」
「(うーん、なんで知ってるんだろ…、今度盗聴器とかないか探してみよ…)
てゆーか何でもいいからとりあえずテレビ消して…」