1.ちがう朝(くくタカ?)
「へーすけくん…」
甘ったるい声。
タカ丸はベットの上に座りながら、ネクタイを締める兵助の服をきゅっと掴み、
普段隣に立っているとなることのない上目遣いで見つめる。
「…(聞こえない聞こえない聞こえない)」
「ねぇ、お願いだからぁ……」
「……いってきます(聞・こ・え・な・い!)」
「兵助くん…!」
自分を落ち着かせるために息をつきながら、急ぎ足で玄関へ向かう。
タカ丸はベットから降りて、それでも留まろうとしない兵助の後を追った。
小さくスプリングが鳴る。
「行かないでぇ…っ」
ドアを開けたところで、タカ丸のその切ない声に反射的に兵助の動きが止まった。
「だから…!」
しょうがなく振り返って目線を向ければ、今にも泣きそうなタカ丸がそこに立っていて。
挙句、制服の裾をぎゅっとつかまれて。
(うっ……!!)
兵助は思わず言葉を詰まらせてしまった。
「兵助、くんっ…」
「お願いだからっ、その寝ぐせ直させてよぉー!!」
「だあぁぁーーもうっ!だから今日は朝から用があって時間ないんだっての!」
「3分で終わる!絶対終わらせるから!!」
兵助はその言葉には耳を貸さず、精一杯心を鬼にしてノブを回す。
「だめ!もう俺行くからな!鍵閉めろよ!!」
「ちょっ…!!」
裾を掴んでいた手からするりとすばやく逃れられ、タカ丸は慌てて手を伸ばしたが、
それよりも早く兵助はドアを閉めてしまった。
「っ〜〜〜兵助くんの馬鹿!」
***
今日も元気にバカップル(笑)
ただの痴話げんかです。
カリスマ美容師の息子は寝癖など言語道断。許せません。
2.メール(久々知+鉢屋)
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(#`-_ゝ-)
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「……」
「なにそのメール」
三郎、お前人のケータイだってこととかプライバシーとか、そういうこと忘れてないのか。
いつもならそういうところだったのだが、今日はむしろありがたい。
兵助は三郎にケータイを渡した。
「…ちょっと朝いろいろあって、ごめんってメール送ったら、これ」
「拗ねてんなー」
「う…」
「兵助、どーする?
『もぉ兵助くんなんて嫌い!寝癖気にしない男なんてサイテー!』
とか言われたらどーするよ?」
「声真似すんな!てかなんで原因知ってるんだよ!?」
「分からいでか」
至極面白そうに笑いながら、三郎がぴょんと跳ねた兵助の髪を指差したとき、
手の中のケータイが、メールの着信を知らせてランプを光らせた。
それに気付いたのは三郎だけで、当然、こっそり受信ボックスを開いてみる。
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あのね
おれは兵助くんがカッコイイのが好きなの!
そこだけは分かってよね(・`ω´・)
お風呂で髪洗わせてくれたら
今日のこと許してあげる!
だから早く帰ってきてね(○´∀`○)
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「…はいはい、もう勝手にどーぞ」
「はぁ!?ちょっおま、人のケータイ投げんなよっ!」
***
はい、受信ボックス見て久々知が赤面するまで10秒
今日も元気にバカッp(略)
3.メール事情(4年)
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早く帰る
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じゃあ今朝のことは許してあげる!
待ってるね(^ω^)
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「…」
「…」
「…」
「…え?な、なに?」
送信ボタンを押すと同時に、
タカ丸は綾部と滝と三木から視線を感じて顔を上げた。
「…ニヤニヤしながらメールしないでください。気分が悪いです」
「えー!綾ちゃんひどい!」
「「右に同じ」」
「2人まで!?」
だってそんな幸せそうな顔されちゃあ、
勝ち目もないと思われそうで。
「…うざい」
「そこまで!?」
「「いや、それはタカ丸さんへの言葉じゃないので気にしないでいいです」」
十中八九その送信メールのお相手でしょうよ。
***
4年はタカ丸に懐いてて、基本アンチ久々知
タカ丸はそこらへん気付いてたり気付いてなかったりだけど色々敢えてスルー
4.校門(利コマ)
「利吉さーん」
「なんだい小松田君」
「いつまでここでサボってるんですかぁ?…イタタタタ!
ほっぺた引っ張んないれくらはいよー!」
「生意気なこと言うからだよ」
利吉はむっちりとした秀作の頬を抓っていた両手を離すと、
不満げに秀作は「ほんとじゃないですかぁ」と零す。
「今はあれだよ、休憩中なんだよ」
「でも僕が校門のお掃除してたらいつも利吉さん来るじゃないですか」
「…あのねぇ」
「サボりは駄目ですよぉ^^」
「…もっかい抓られたいのかい?」
意地の悪い笑みを浮かべえてそういうと、
秀作はそれを防ごうと自分の頬を押さえる。
そのまま、どうだ!とばかりに笑みを浮かべるものだから、
可愛くて仕方がない。
「それなら、こう、だっ!」
「わぁっ!」
腕を広げて縮こまった体をぎゅっと抱きしめる。
頬を押さえてるせいで動けなくて、
胸の中でうわーひゃーという声が聞こえてきた。
「君もサボるかい?」
「(認めた!)…はーい」
***
利コマ=甘ければ甘いほどいいよ!
利吉さんは小松田さんと一緒にいたいんです
5.その頃職員室(土井+久々知)
「…土井先生、すごく悪土井顔になってますけど」
「お、兵助。今朝はすまないな」
「いえ、一応委員長代理ですから。…それなんですか?」
兵助は半助が持っていたそれを指差す。
「なにって。双眼鏡」
「そうですけど。なんで職員室から双眼鏡で外見てるんですか」
「いやぁ、若いなーと思って」
半助はにっと人の悪い笑みを浮かべた。
兵助はさっきまで半助が覗いてた方向を見ると、
「…ああ。(見てしまった…)
先生も盗み見なんて趣味悪いです…」
「いやぁこれは、サボりがちな研修生の監視だよ^^」
「はあ…(ひ土井なこの人…)
とにかく書類ここに置いときますので」
「悪いなぁ。このせいでタカ丸と喧嘩にならなかったかい?」
「……なんで分かるんですか」
むっと怪訝な表情で問えば、半助は苦笑を返す。
「タカ丸が寝癖見逃すとは思えないしなぁー」
専属美容師のおかげでいつだって綺麗に整えられているその髪がいつもと違うから、と笑われて、
まるでいつだって一緒にいると思われているみたいで。
兵助は少しばかり熱っぽく感じる顔を俯ける。
「…あいつが勝手に怒ってただけです。
髪のことになるといちいちうるさいんで」
「私もいつも怒られるんだけど、髪の手入れはいろいろ面倒だからなぁ…
兵助から上手いこと言っておいてくれないか?」
「無理です(先生とはっちゃんは絶対)」
「じゃあまた毟られる前に逃げるしかないか…(遠い目)」
「うっ…なんか…すいません……」
***
久々知に寝癖があれば「斉藤となにかあったの」って誰もが心配する
そのくらいには一緒にいるよ
土井先生の趣味は利コマの覗き見と研修生いびり
6.夕食(タカくくタカ)
「兵助くん、おかえりー!ご飯できてるよ」
「あ、うん、ただいま」
上機嫌そうな笑顔で迎えられ、とりあえず安心して、
兵助はとっくに通いなれたタカ丸の部屋に足を踏み入れる。
「どーぞ、召し上がって」
タカ丸はにっと笑って、食卓へ兵助を促す。
今日は和食らしい。
「……なんか今日、」
「うん?」
「練り物多くない?」
ちくわの入った野菜炒め、ちくわの磯辺焼き、なるとのはいったお味噌汁。
「あーそうそう、安かったんだー」
タカ丸はそういって笑って、一口磯辺焼きをほお張った。
「先生なら泣くな…これ」
「あ、そういや買い物行ったときにきり丸くんに会って、
ちょっと多めに買ってあった練り物あげちゃったー」
「…今なんと?」
「きり丸くんに、練り物、あげちゃった」
「お前それ……!」
「だって先生と喧嘩中だったみたいだからさー」
「共犯じゃねーか!!」
なに考えてんだ俺知らないからな、とちくわを口に放り込みながら一言。
兵助は神経性胃炎でいつか倒れてしまうんじゃないかと、教師を身を案じた。
しかし実際は人事ではなく。
「(だって今日職員室で2人の話聞いちゃったんだもん。
兵助くんも同罪だから、しばらくは豆腐料理だしてあーげない)」
***
土井先生に死亡フラグ(笑)
照れ隠しとはいえ髪を粗末にする発言は許しません。
きり丸は土井先生の家(ボロアパート)でお世話になっています。
7.土井家の夕食(土井きり)
「…きり丸」
「なんですか」
「こういうのはちょっとずるいぞ!」
「タダでもらったんですもーん、タカ丸さんに」
「(あの阿呆めっ…!)なにも食べられないじゃないかこれじゃ…」
「お残しはゆるしまへんで」
素っ気無く言って、きり丸はひょいと一口ちくわを口に入れる。
いつになく豪華な夕飯だと思えば、練り物ばかりがはいっていて、
あきらかに嫌がらせだとしか思えない。
「……なぁ、なに怒ってるんだきり丸」
「わかんないんですか!?」
きり丸の目の色が変わる。
半助になにかここまできり丸を怒らせる理由は見つからず、
その怒りっぷりに思わず気おされた。
「最新DVDを二泊三日も借りるからですよ!
レンタルは即日または一泊!どケチの基本です!!」
「…そういうことか………中見たのか?」
「いーえ。何泊レンタルかしか」
はっきりとそういうものだから、半助は苦笑しかできなかった。
「…お前が前に見たいって、でも映画館は高いから行かなかったあの映画」
「…へっ?」
「一緒に見ようか」
な、と笑って頭を撫でてやると、
黒髪の奥で目尻が赤く染め上がったのが見えて、
半助は笑みを零す。
「…もったいないから、最低2回は見ますからね!」
「はいはい」
***
それでもお残しは許さないきり丸、鬼嫁(ひ土井)
でもあーんってするときりちゃんが代わりに食べてくれます。
初土井きりがこれというのはとても問題だと思います。
8.深夜の訪問者(タカくくタカ+鉢屋)
ドンドン、と無遠慮にドアを叩く音がして、
それに気付いた夕食の片付けをしていたタカ丸は水を止めて玄関に向かう。
時計を見れば11時といういきなりの訪問には遅い時間帯で、
タカ丸は誰だろうと思いながら、「はーい」と言ってドアを開けると、
「斉藤」
「ぎゃっ」
「あ?」
兵助は叫び声に振り返って、顔をしかめ、
「…追い返せ」
タカ丸の腰に手を回してべったりとくっついてる人影に吐き捨てるように言った。
訪問者であるこの男、鉢屋三郎がこうやってタカ丸をアテにしてくるということは、
その理由はおよそ予想がついているのだ。
タカ丸は苦笑しながら、どうしようもない両手をぶらつかせていると、
三郎の肩にぶらさがる見慣れたレンタルビデオ店のかばんを見つけた。
「…三郎くん、雷蔵くんと喧嘩したんだね。
つーかそれDVD何本入ってるの?」
「3本。今日オール付き合え」
「三郎、お前なに勝手なこと言ってんだコラ」
「まーまー、…さぶろーくん、付き合ってあげる、からとりあえず、離れて」
「…腹減った。なんか作って」
いつになく元気のない声で言うものだから、
タカ丸は兵助をこっそり見て、
どうやら不機嫌そうに視線をテレビに向けているのを確認し、さわり心地のよい茶髪を撫でてあげる。
「はいはい、野菜炒めでもいーい?」と問いかけると、
三郎はゆっくり頷いた。
(あーもー……甘やかすな)
嫌な予感がして、兵助はため息と共に内心呟いた。
***
雷蔵と喧嘩してしょんぼりしてる三郎は弟みたいで可愛いー
とかタカ丸が思ってればいい
三郎とタカ丸が仲いいというか、なんだかんだで懐き懐かれな感じだと嬉しい
9.タカくくタカ+鉢雷
三郎の訪問から一時間後。
ピンポーン、と深夜には似つかわしくない音が響く。
その訪問者が予想がついていた。
「兵助。悪いね、遅くに」
「いや、もうさっさとあれ引き取ってくれ…
雷蔵雷蔵うるさいし食うし騒ぐし、今疲れて寝たみたいだけど」
兵助のうんざり、という様子に雷蔵は「悪いねあの馬鹿が」と困ったように笑った。
「あ、雷蔵くん。どうしたのー、喧嘩なんて」
タカ丸はそう問いかけながら、苦笑いを向ける。
テレビには三郎が借りてきた最新DVDの映画が流れていた。
「明日ちょっと約束してたんだけど、学校の用で無理になっちゃって、それで」
「…そんな理由かよ」
「まぁまぁ…三郎くんには大きな問題なんだよ…」
兵助が呆れたように息をついて顔をしかめるのを、タカ丸が隣でたしなめる。
雷蔵は申し訳無さそうに謝る。
「ごめんね、タカ丸くんにも迷惑かけちゃって」
雷蔵はそう言って、机に突っ伏して眠る三郎に目をむけた。
その時の彼の目は笑っていませんでした(後日、s藤さん談)
「…三郎。ほら、いつまで寝たふりしてんの?」
雷蔵は三郎の後頭部を思いっきり引っ叩く。
ゴンという、三郎がテーブルに額を打ちつける鈍い大きな音がした。
((痛…っ))
「ったく、いつまで拗ねてるの、餓鬼じゃあるまいし。
こんなことして兵助やタカ丸くんに迷惑かけるなら僕ほんとに怒るからね」
((いや絶対もう怒ってます…))
「…………雷蔵と一緒にいたい」
「それならここで拗ねてないで、朝まで僕と一緒にいればいいだろう!」
((すごく男らしい!!))
「雷蔵っ…!」
((ときめいてる!?))
…そのあと、仲直りをしたらしい雷蔵と三郎は慌ただしく帰っていき、
残された2人は顔を見合わせてため息まじりに笑みを浮かべた。
「雷蔵くんって怒ると怖いね…」
「まあな…あそこまで怒らせられるのは三郎くらいだけどな」
「でもなんだかんだで仲いいよねぇー」
「そうだな…」
「…忘れていったこのレンタルDVD、どうしよっか」
「…付き合ってやるよ」
「今日は泊まらないで帰ると思ってたんだけどなぁ」
「気が変わったんだ」
((俺たちだって、朝まで一緒に))
***
ちょっとした抵抗意識。
どっちも今日も明日もバカップル。
10.TUTA●Aでばったり(タカくくタカ+土井きり)
「たーかーまーるー?」
「…ヤダナー先生、怒んないでくださいヨ〜」
「お前のタカめもには私についての情報が少なからず書かれてるはずだから知らないとは言わせないぞぉ」
「やっ…あれはほら、きり丸くんの節約生活を応援しようと、ですねぇ…」
「 ^^ 」
「(超怖い!!)だってぇ……」
間近で見るその笑顔に目線を背けながら、タカ丸が一歩後退すれば、半助は少しかがんでじり、と一歩迫る。
そのやりとりは、レンタルビデオ店の一角で、なかなか穏やかではない空気のなか行われていた。
「…久々知先輩」
「…え?」
「……すごく不機嫌そうですけど?」
「……いいや、そんなことはない」
「…そっすか」
「……(イライラ)」
「(こんなあからさま妬く人なんだなー…)」
「……(イライライラ)」
「(もっと冷静な感じの人かと思ってたんだけど、なんか案外…)」
「……(プッチーン)…タカ丸」
「へ?」
「ん?」
「帰るぞ。先生、失礼しました」
「兵助くん?…わ、ちょっ、まっ待って!どーしたのっ?」
「はは、可愛いやつらだな」
「でも先生が一番子供っぽいっす…」
「んー?」
***
先生はバカップルつつくのが大好き
久々知はろこつに妬くくらいが可愛いです
お粗末さまです^^