※くく→←にょタカでかつ4年がみんな女の子です
女体化の苦手なお人はご注意ください
夏の日差しによく似た明るい灯りに照らされた室内プールは夏休みということもあり繁盛している。
そのなかで1人じっと長くうねるスライダーの最終点を見つめていたタカ丸は、
盛大な水音とともに出てきた人影にぱっと顔を輝かせる。
もつれ合うようにして一旦水中に深く沈んでから一斉に顔を上げた3人の友人に、タカ丸は「すごーい!」と笑って手を振った。
「いいえ!今のは三木が邪魔をしなければもっと華麗に着水できたんです!」
「なっ!さっきは綾部がいきなり後ろから押してきたから…!」
滝の言葉に三木はそう言って綾部を指差そうとしたのだが、
振り返ったころには綾部の姿はすでにそこにはなく、タカ丸のいるプールサイドの近くへと移っていた。
綾部はプールの中からプールサイドに肘をついてタカ丸を見上げる。
タカ丸はしゃがみこんで綾部に笑みを向けた。
「楽しかった?」
「…タカ丸さんも泳ぎましょう」
「えっ?うっ…うーん、それは……」
綾部の言葉にタカ丸は気まずそうに目線をさまよわせる。
困ったように頬をかくと、低位置で2つに結ばれた鮮やかな金髪が揺れた。
タカ丸はせっかくのプールへ来て水着にまで着替えているというのに、水の中に入ろうとしない。
綾部の大きな瞳から逃れるように、タカ丸は細い腕で折りたたんだ脚を抱くようにして小さく縮こまる。
「タカ丸さんも一緒じゃないと楽しくないです」
「あ、綾ちゃん…っ」
しかし目力の強い大きな瞳にしかと見つめられて物寂しそうな声で言われてしまうと、決意が揺らいでしまう。
綾部たち年下の同級生がタカ丸を慕うように、タカ丸も3人のことが可愛くて仕方ないのだ。
そんな可愛い妹のような綾部にそのようなことを言われてしまうと、
タカ丸は思わず頷きそうになった、のだが、
「あ、斉藤?」
と、不意に知った人の声がしてタカ丸も綾部もはっとして振り向けば、
よく似た容姿をもつ2人のうちの1人がタカ丸の隣に立っていた。
偶然だなぁと笑うその表情やタカ丸に至っては髪の質を見て、それがどちらかはすぐにわかった。
タカ丸は立ちあがってその男に人懐っこい笑みを向ける。
「三郎くん!三郎くんも遊びにきたの」
「まーね、いつものメンバーで」
「……え、いつものって、」
その言葉にタカ丸の表情が硬くなる。
まさか、まさか。
いつものメンバーといえば常に三郎のとなりにいるよくにた容姿の彼と、
ぼさぼさな髪質さえなければ仲良くしたいと常々思っている彼と、
それと、あの綺麗なつやつやとした真っ黒の髪の、
「もっちろん兵助もってこと!おーい!へーすけー!」
「ちょっ!三郎くん!?」
三郎は人の悪い笑みを浮かべると、
売店に並んでいた人ごみの中から黒髪を、兵助をひとり振り向かせた。
三郎の声に気づいてその方向に目をやった兵助はすぐさま目を見開いて驚いたような顔になる。
一瞬だが、目があった。
だから兵助も驚いたような顔をしたのだ。
タカ丸は思わず体ごと方向変換して向かい合った視線から逃げ出した。
「どっどうしよ!兵助くんに会うなんて分かってたら前見た新しい水着買ってたのに…!」
「あーあの白の。だめですよ、あれ結構きわどかったから」
「でも兵助くんって白好きだしっ…ああもう!
なんでもっと可愛いい格好してこなかったんだろ…!」
「タカ丸さんは十分可愛いです。
可愛いですから、あんな野蛮な男に構ってはいけません。
男はオオカミですよ」
「…へぇ、それよりきわどいの?今でも結構…」
三郎はタカ丸のビキニの肩紐に指先を絡めて持ち上げて、何の気なしにそう言った。
唐突なことに思わずタカ丸は目を見開いて、赤面し、小さく悲鳴をあげた。
そのタカ丸の悲鳴とほぼ同時。
「三郎お前なにやってんだ!!」
「鉢屋沈め」
兵助が三郎の脇腹に蹴りを喰らわし、
水中から綾部が三郎の足をつかんで引きずり込んだ。
見事な連携プレーによって、今度は三郎が悲鳴を上げる間もない番である。
水飛沫をあげてプールの中に沈んだ三郎は激しく泡を吐き出してから、ようやく水面上に顔を出した。
苦しげに呼吸をしながら噎せ返な三郎の背後で、次いで綾部も浮かび上がる。
三郎は綾部をきっと睨んだ。
「てめっ…マジで殺す気か!」
「いいえべつに………チッ」
「洒落になんねーよ!!殺る気だっただろ綾部!」
「まあ私が殺人犯にならずに済んでよかったです。ゴキブリ並の生命力ですね鉢屋先輩」
「よっしゃ、お前マジ女子だからって勘弁しねえ。ちょっと表でろ」
「上等です」
お互いにぎろりと睨みあう。
相変わらず仲が悪い。
普段から顔をあわせば棘のある喧嘩腰の会話ばかりの2人のやりとりに、
プールサイドでは雷蔵と八左ヱ門がそれを見守りながらのんびり休憩していた。
雷蔵は「いやぁ仲いいねぇ」呟き、八左ヱ門も「おもしろいなぁあいつら」と無難に感想を述べる。
どうも、仲裁する気がある人間はいないようだ。
兵助も呆れてその2人から視線を反らすと、隣のタカ丸に目をやった。
急に振り向かれたタカ丸は少し目を開いて兵助を見上げる。
濡れた黒髪はいつもより艶々と綺麗で、タカ丸が思わず見惚れそうになっていると、
目の前に売店の大きな紙コップを差し出された。
「……これ、三郎のぶんだけど、いる?」
雷蔵と一緒のだからオレンジジュースだけど、といった兵助に、
タカ丸は少しの間呆けて、しかしすぐさま大きく頷き、差し出された紙コップを両手で受け取った。
「うん!ありがとう、嬉しい!」
「っ…んなもんで喜ぶなよ…」
「だって、嬉しいよ!」
タカ丸はそう言って惜しみなく満面の笑みを見せる。
白いはずの頬を少し紅潮させて笑うタカ丸を、兵助は直視できない。
兵助は赤くなった顔を隠すようにそっぽをむいてそっけなく「変な奴」と呟いたが、
それでもタカ丸は嬉しそうに笑って、冷たい紙コップをにぎりしめた。
「斉藤は…プールはいらないのか?」
「えっ!?…あ、う、兵助くんは?」
「俺は休憩しにきた」
「…じゃあ兵助くんの休憩終わったら、泳ぎにいこっかな」
「…うん」
タカ丸はオレンジジュースを飲み込んだ。
味なんてわからなかったけどいつもよりずっと甘く感じた気がして、
心臓の動きが速すぎて脳までおかしくなっちゃったのかとぼんやり思案する。
味覚など狂ったって構わない。
「…じゃあ、行くか?」
そう言って差し出されたその手を掴んで、その体温を感じることができるのならば。
「…う、ん」
タカ丸は飲みかけのジュースを傍らに置いて、代わりにその大きな手に手を伸ばし、小さく握る。
それに兵助がしっかりとぎゅっと、強く握り返してくれたことがうれしくて、堪え切れずに笑みがこぼれた。
触れる肌がひどく熱い。
自分の熱かそれとも手を繋ぐ相手の熱か、
温度の交り合う手の中ではそれも曖昧で分からなかったけれど、
きっとプールにはいったところでこの熱は冷めやしないのだろうと観念した。
タカ丸はゆっくり、兵助に手をひかれてプールに足をつけた。
「…どれだけ言っても塩素で髪が痛むと絶対にプールに入らなかった人が」
「…いとも簡単に、だな」
終始傍観していた滝と三木のその呟きが他の誰かに聞かれることはなかったが、
4年と兵助の間にさらなる隔たりが生まれたことと、
三郎との悶着の途中でプールの中のタカ丸に気がついた綾部が戦線離脱し、
その後兵助が溺れかけるはめになるのは、また別の話。
***
夏プロジェクト プール×5年+4年(女体化)
おおう…女体化・初々しいくくタカというものが初めてでした…ちゃんと書けているかものすごい不安です…orz
でも女の子4年を妄想するのが非常にたのしかったです!タカ丸さんはとても巨乳だと思うんだ(ちょっと黙れ)
あと塩素とかそういうのがあるのでプールとか海も行くけど中には入らなそう…久々知がからめばちょろいようですが。恋ゆえに。
あと三郎はなんかナチュラルにセクハラできそうです。
鉢雷は男のままだから女子に興味ないというか、それ以前に雷蔵以外は対象外そうなので。
あと綾部と三郎はにょたになろうとなんだろうと険悪という妄想。
むしろにょたになったほうが4年はタカ丸対して過保護になりそうだから、アンチな感じ3割増しくらいかもしれません…
あと途中まで書いて5年メインじゃなくて4年メインだと気付きました…ごめんなさい…!
くく→←タカ!初々しく!にばかり気をとられていました…申し訳ありません…!
女体化はもっと設定とかをいろいろ考えられたらリベンジしてみたいです…!
ヤヱさん、リクエストありがとうございました!