「あ、兵助くん、おかえんなさーい。きり丸くん帰っちゃったよ」
「まじで?なにも出さずに帰したのかよ」
「ごめんごめん、だってぇ…」
タカ丸は兵助が買ってきてくれたジュースとインスタントコーヒーがはいった袋を受け取って、
堪え切れないようにくすくすと笑みをこぼしはじめた。
兵助は不審そうに眉をひそめてタカ丸を見やって、「なんだよ」と先を促す。
「いやぁ…二人して今日をすっごい楽しみにしてるみたいだからさ」
「二人して?」
「そうそう。昨日めっずらしく、うちの店に髪切りにきた土井先生も、ね」
タカ丸は相変わらず最っ悪の髪質だったか2時間くらい格闘したよもーと笑いながらも、
恩師ではあるが最大の天敵でもあるあの髪を思い出したか、その眼光はするどかった。
兵助は思わずご愁傷様、と恩師に胸の中で手を合わずにはいられなかった。
きっと散々文句を言われてこってり絞られてとくとくと美容講座をひらかれて、大変だったことだろう。
髪のこととなると容赦がなくなるこの男のことだ、と兵助は息をついた。
「でもなんとかちょっとはマシになったかなー、
今度うちに来てくれるかもしんないからその時にまた…」
「お、来んの、先生」
「きり丸くん次第だけどねぇ…あ、遊びにいっちゃう?」
「馬鹿、水入らず邪魔すんな」
あっさりと提案を却下され、タカ丸はそれもそうだねぇと納得したように呟いた。
兵助は「余計なことしてやるなよ」と釘をさしながら、
買ってきたばかりのインスタントコーヒーを淹れはじめた。
「あ、俺もー」
「ん」
白のマグカップがすでに2つ用意されていて、タカ丸はふにゃりと顔を綻ばせた。
ポットでお湯をそそげば芳しいブラックとミルクコーヒーの匂いが部屋に満ちる。
タカ丸は兵助からミルクのはいったカップを受け取り、ありがとうと笑みを向け、
どーいたしましてと言ってブラックコーヒーを口にする兵助の立ち姿をじっとみつめた。
ほとんど同じ高さで目線が交わる。
「…ねぇ兵助くん、背ぇ伸びた?」
「…あ?嫌味かてめえ、いい度胸してんな」
「そんなことないよ-う」
「うわ、むかつく…っ!お前、絶対抜くからな!」
「はいはい」
いつまでも待ってるから頑張ってねと笑うと、
最近可愛くないぞお前と拗ねたような顔で兵助は毒づいた。
(そんな君が俺は可愛くって仕方がないんだけどね)
なんて笑うと熱いコーヒーをぶっかけられるかもしれないから、
タカ丸は黙って小さく微笑して、両手でつかんだマグカップにそっと口をつけた。
***
たまには夫がコーヒーいれててもいいじゃない。
タカ丸と久々知の部屋にはサイフォンとかもあるんだけど、
マイブームが去って今はぜんぜんつかってないとかそんな設定があります。たまに思い出してつかう。
サイフォンいいですよねタカ丸絶対もってそう。あのこぽこぽふたりで眺めてればいいよ。
現パロ未来でも久々知はまだタカ丸の身長を抜けてません。
タカ丸が「そんなに変わらないよ」っていうと久々知は「嫌味か!」って怒るけど、
実際そんなに変わらない。けど気にしてる、とかいう久々知だとえらい可愛いと思います。
身長追い越せればいいね、頑張れ久々知!(丸投げか/ごめんいまのところ予定ない…)
土井先生、じつはタカ丸の店いってました。
店に土井先生がきたとき、思わずタカ丸は鋏落としたという。(来てくれた恩師への感激<髪質の最悪さで)